快腸新書 表紙

目次

要旨

ABSTRACT

本書は、腸内環境の改善を基軸とした生活習慣の再設計について述べるものである。もっとも、ここでいう再設計とは、厳密な医学研究に立脚した専門的処方を意味するものではない。日常において継続し得る小規模実践の積み重ねこそが、快腸および快眠、さらにはメタボ的諸問題の緩和に寄与し得るのではないか、という仮説的態度に基づくものである。

要するに、朝に水を飲み、少し歩き、繊維を足し、夜に食べ過ぎないことが大事だ、という話である。

第一章 問題提起

一般に、メタボ傾向と睡眠の浅さは別個の問題として認識されがちである。しかしながら、生活実感の水準においては、両者はしばしば同時に出現する。夕刻以降に疲労が強く、食事量が増し、夜間の休息が浅く、翌朝の身体感覚も重い。この循環は、偶然というより、生活構造の反復と捉えるほうが自然である。

本書では、この反復構造の中心に「腸」を置く。なぜなら、腸は食べること、出すこと、休むことのすべてに関与しているからである。
腸が乱れると、食欲も乱れ、眠りも乱れる。
したがって、腸を整えることは、生活全体の秩序を回復する試みと見なし得る。

第二章 理論的整理

腸活とは何か。これを過度に神秘化する必要はない。本書では、以下の三要素をもって、ひとまず腸活の基本構成とみなす。

ELEMENT 01

入れる

発酵食品等を生活の中に配置すること。ただし、摂取量を競う必要はない。合うかどうかの観察が先である。

ELEMENT 02

育てる

野菜、海藻、豆、果物などを通じて、善玉菌の餌となるものを補うこと。ここが抜けると、頑張った感のわりに伸びない。

ELEMENT 03

出す

水分、歩行、睡眠、リラックスにより、排泄リズムを整えること。腸は、放っておけば勝手に整うものではない。

定義1 ジョーカー
本書においては、メタボ傾向、便秘傾向、夜食癖、だるさ等の悪玉的生活習慣群を指す。
定義2 快腸
毎日完璧に出ることのみを意味しない。軽さ、静けさ、眠りやすさを含む総合的身体感覚をいう。

第三章 実践法

理論のみでは腹は動かない。したがって、三日間の簡易プロトコルを提示する。ここで重要なのは、完璧に遂行することではなく、身体の反応を丁寧に観察することである。

  • 起床後、常温の水をコップ一杯飲む。
  • バナナ、りんご、キウイ等の果物を一つ摂る。
  • 五分から十分ほど歩く。
  • 昼食時、野菜または海藻を一品加える。
  • 夕食時、味噌汁または納豆を静かに添える。
  • 朝の水分摂取を継続する。
  • 豆、きのこ、海藻のいずれかを昼食に加える。
  • 日中、こまめに水分を補う。
  • 夕食は脂っこさを控えめにし、夜食を回避する。
  • 就寝前、白湯または腹式呼吸を一分だけ行う。
  • 朝の水を継続する。
  • 食べ過ぎを避け、腹八分を意識する。
  • 十分から十五分程度の歩行を行う。
  • 夜はだらだら食べを避ける。
  • 便、お腹の張り、眠気、体の軽さについて簡単に記録する。

第四章 音響処方

本章では、腸内環境の改善を補助する目的で、音響刺激を用いる手法について述べる。とりわけ、リズムを明確に持つロックンロールは、身体感覚の再起動に対して一定の寄与を持つ可能性がある。ざっくり言えば、気分が動くと体も動きやすい、という話である。

PRESCRIPTION
処方名
ジョーカーは消えな!
製造元
CADDY
用量
1日1〜3回
用法
気分が乗らない時、歩き出す前、または生活の立て直しを要する時に再生する。
期待される作用
だるさの停滞感の緩和、気分の起動、ジョーカー的気分への反撃姿勢の獲得。
副作用
軽く踊りたくなる可能性がある。
SUPPLEMENTARY DEVICE

補助再生装置

下記の装置は、見た目こそ薬箱めいているが、実際には音響再生装置である。服用の際は、周囲に支障のない音量に調整のうえ使用することが望ましい。

ジョーカーは消えな! サムネイル
待機中

第五章 禁忌事項

PROHIBITION 01

ヨーグルトだけで満足すること

入れることだけに偏ると、育てることと出すことが疎かになる。それでは成果が薄い。

PROHIBITION 02

繊維だけ急増させること

水分不足のまま食物繊維だけ増やすと、張りや停滞感が出る場合がある。漸進主義が望ましい。

PROHIBITION 03

夜遅くの過食

これはジョーカーの大好物である。睡眠とメタボの両面に不利益が大きい。

第六章 観察記録

腸活の成否は体重計だけでは測れない。むしろ、初期には以下のような主観的変化のほうが重要である。

第一日

第二日

第三日

終章 結語

快腸とは、特殊な健康食品の名前ではない。朝に水を飲み、少し歩き、繊維を足し、夜を静かに過ごすという、地味な生活技術の積み重ねによって支えられる身体感覚である。

したがって、本書の結論は派手ではない。しかしながら、地味であるからこそ継続しやすい。そして継続しやすいからこそ、ジョーカーは徐々に居場所を失う。

腸を整えることは、
生活を静かに立て直すことである。

付記

※1 本書における「ジョーカー」は比喩表現であり、特定の人物を意味しない。

※2 本書は医療行為の代替を目的とするものではない。ただし、生活改善のきっかけにはなり得る。

※3 音響処方は補助的手段であり、主治療はあくまで生活習慣の是正にある。

TOP