入れる
発酵食品等を生活の中に配置すること。ただし、摂取量を競う必要はない。合うかどうかの観察が先である。
本書は、腸内環境の改善を基軸とした生活習慣の再設計について述べるものである。もっとも、ここでいう再設計とは、厳密な医学研究に立脚した専門的処方を意味するものではない。日常において継続し得る小規模実践の積み重ねこそが、快腸および快眠、さらにはメタボ的諸問題の緩和に寄与し得るのではないか、という仮説的態度に基づくものである。
要するに、朝に水を飲み、少し歩き、繊維を足し、夜に食べ過ぎないことが大事だ、という話である。
一般に、メタボ傾向と睡眠の浅さは別個の問題として認識されがちである。しかしながら、生活実感の水準においては、両者はしばしば同時に出現する。夕刻以降に疲労が強く、食事量が増し、夜間の休息が浅く、翌朝の身体感覚も重い。この循環は、偶然というより、生活構造の反復と捉えるほうが自然である。
腸が乱れると、食欲も乱れ、眠りも乱れる。
したがって、腸を整えることは、生活全体の秩序を回復する試みと見なし得る。
腸活とは何か。これを過度に神秘化する必要はない。本書では、以下の三要素をもって、ひとまず腸活の基本構成とみなす。
発酵食品等を生活の中に配置すること。ただし、摂取量を競う必要はない。合うかどうかの観察が先である。
野菜、海藻、豆、果物などを通じて、善玉菌の餌となるものを補うこと。ここが抜けると、頑張った感のわりに伸びない。
水分、歩行、睡眠、リラックスにより、排泄リズムを整えること。腸は、放っておけば勝手に整うものではない。
理論のみでは腹は動かない。したがって、三日間の簡易プロトコルを提示する。ここで重要なのは、完璧に遂行することではなく、身体の反応を丁寧に観察することである。
本章では、腸内環境の改善を補助する目的で、音響刺激を用いる手法について述べる。とりわけ、リズムを明確に持つロックンロールは、身体感覚の再起動に対して一定の寄与を持つ可能性がある。ざっくり言えば、気分が動くと体も動きやすい、という話である。
下記の装置は、見た目こそ薬箱めいているが、実際には音響再生装置である。服用の際は、周囲に支障のない音量に調整のうえ使用することが望ましい。
入れることだけに偏ると、育てることと出すことが疎かになる。それでは成果が薄い。
水分不足のまま食物繊維だけ増やすと、張りや停滞感が出る場合がある。漸進主義が望ましい。
これはジョーカーの大好物である。睡眠とメタボの両面に不利益が大きい。
腸活の成否は体重計だけでは測れない。むしろ、初期には以下のような主観的変化のほうが重要である。
快腸とは、特殊な健康食品の名前ではない。朝に水を飲み、少し歩き、繊維を足し、夜を静かに過ごすという、地味な生活技術の積み重ねによって支えられる身体感覚である。
したがって、本書の結論は派手ではない。しかしながら、地味であるからこそ継続しやすい。そして継続しやすいからこそ、ジョーカーは徐々に居場所を失う。
腸を整えることは、
生活を静かに立て直すことである。
※1 本書における「ジョーカー」は比喩表現であり、特定の人物を意味しない。
※2 本書は医療行為の代替を目的とするものではない。ただし、生活改善のきっかけにはなり得る。
※3 音響処方は補助的手段であり、主治療はあくまで生活習慣の是正にある。